HOME > 相続・遺言の例
A子さんは夫の両親である義母と同居をしています。
A子さんは、これまでずっと寝たきりの義母を献身的に介護してきたため、
義母は日ごろから、「私が死んだら、遺産は息子とA子さんにもらって欲しい」と話していました。
そんな中、義母は認知症になってしまい、更には夫までもが悪性の病気で入院し、義母が先か、夫が先かという状態に陥ってしまいました。
A子さん夫妻には子供はおらず、夫には姉と弟がいます。
このケースでは、義母が先に死亡した場合、義母の遺産は3人の兄弟で1/3ずつ相続します。
その後に夫が死亡した場合、義母の1/3の財産を含めた夫名義の全ての財産の3/4をA子さんが相続し、残りの1/4を夫の姉弟が半分ずつ(1/8ずつ)相続します。(夫が遺言を残した場合を除く)
しかし、A子さんの夫が先に死亡した場合・・・
A子さん夫妻に子供がいれば、その子が夫が相続するはずだった義母の遺産の1/3を相続しますが、A子さん夫妻には子供がいないので、義母の遺産の相続人は姉と弟の2人だけです。
法定相続人でないA子さんには義母の遺産をもらう権利はありません。
2人の姉弟が、母がA子さんに世話になったことに感謝をし、財産を渡してくれる場合もありますが、そのような配慮が望めないと、受け取れるものは全くありません。
献身的に介護をしてきたのに、その思いが報われない・・・特に長男の嫁など、こういったケースに見舞われる懸念があります。
このようなケースにおいては、A子さんは義母に財産を分けてもらうという遺言をしっかり書面にしてもらうべきでした。
認知症になってしまうと、有効な遺言が出来なくなります。
元気な時に遺言の話はしづらいですが、元気な時にこそ家族で先々のことを話し合いましょう。
B子さんには、夫と2歳になる子供がいます。
ある日、この夫と子供が同じ事故で亡くなりました。
夫の父母は健在です。
夫の相続人は誰になるのでしょうか・・・。
まず、配偶者であるB子さんは必ず相続人になります。問題になるのは、夫の父母が相続人になるかどうかということです。
これは、夫と子供のどちらが先に亡くなったかにより決まります。
【夫が先に死亡】
まず、夫の遺産をB子さんと子供が相続し、次いで子供の死亡により、A子が子供の遺産を相続するため、結果的にB子さんが夫の遺産を全て相続することになります。
【子が先に死亡】
夫の遺産の相続人は、B子さんと夫の両親になるため、B子さんが2/3、夫の両親が残りの1/3(おのおの1/6)を相続することになります。
【夫と子が同時に死亡したと推測される】
「子が先に死亡」した際と同様。
(2人の死亡の先後がわからない)
このケースのように、死亡順序や同時死亡を推定することは、相続に大きな差異を生じさせます。
C男さんには、2人の子供がいて、妻は4年前に他界しています。
長男は以前からギャンブルや遊びの金を無心に来て、C男さんが断ると、C男さんにひどい暴力をふるいます。C男さんが留守の間に、勝手に大金を持ち出したこともありました。
C男さんは、自分の相続では次男に全財産をのこし、長男には一切渡したくないと考えています。
仮に、遺言で「次男に全ての財産を相続させる」とのこしても、長男には遺留分という権利があるので、B男さんの遺言を実現できない場合もあります。
長男から、遺留分も含めた相続の権利を奪うためには、遺言で、家庭裁判所に相続廃除請求を行うことを求めるという方法があります。
長男に子供がいる場合には、その子(B男さんから見た孫)の代襲相続が認められるので、必要であれば、孫の廃除も行わなければなりません。
この廃除は生前に行うことも可能ですが、問題がこじれ、かえって虐待や非行の激化を招くことも考えられるため、遺言でのこす方が合理的であると言えるでしょう。
D美さんの夫はアメリカ人で、2人の間には子供が3人います。
夫は、日ごろから子供のためにも遺言を残したいと考えています。
この場合、遺言はアメリカの法律に従って作成することになるのでしょうか?
以前は、遺言をする人の国籍などを基準に遺言の方式が決まっていました。
遺言は、故人の死亡後に法的な効力を発揮するため、故人の真意の確保や偽造変造防止のために、各国とも厳格な方式に従うことが法律で定められているのです。
しかし各国で方式が異なり、その遵守を厳しく要求すると、遺言が無効になってしまう可能性が生じてしまうため、数カ国が当事国となって、遺言の方式について条約が締結されました。
日本はこの条約を批准しているため、必ずしも国籍国の方式に従う必要はありません。
よって、夫は日本民法に従って遺言書を残すことができます。
(ただし、内容についてはアメリカ法に基づく必要があります。)
E朗さん夫妻には1人の子供がいます。しかし、遠方に住んでいて、簡単に会うことができません。
E朗さんは、自分の死後に妻が一人で生活していけるか心配に思っています。
そこで、近所に住んでおり日ごろから何かと気にかけてくれている甥に、自分の遺産の一部を贈与し、妻の面倒をみてもらおうと考えました。
E朗さんは、妻の面倒をみることを条件に、甥に遺産の一部を贈与する旨の遺言をのこすことが可能です。
しかし、甥が条件付の遺贈を受け入れた場合でも、他の法定相続人の遺留分を侵害している際には、遺留分減殺請求がなされる場合もあります。
更に、甥が条件付き遺贈を受け取らなかった場合には、全相続人で遺産分割協議により、遺産の帰属を決定しなければなりません。
全文、日付、氏名を自筆で記入します。ワープロ打ちや代筆は無効です。
紙の大きさ、形、縦書き、横書きなどは自由です。筆記用具も自由ですが、消えやすいものは避けましょう。
必ず、書いた年月日を記入し、署名の後に捺印します。
封筒に入っていなくても有効です。
まずは自分で遺言を作成し、署名捺印をします。
その封をしたものを公証人役場に提出し、公証人と2人の証人にも署名してもらい、内容を明かさないままで遺言にする方法です。
この場合は遺言内容を、ワープロで作成しても有効です。
全横書きなどは自由です。筆記用具も自由ですが、消えやすいものは避けましょう。
必ず、書いた年月日を記入し、署名の後に捺印します。
封筒に入っていなくても有効です。
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